川上量生氏が挑む新SNS「POPOPO」 通話を軸にした次世代コミュニケーションの狙いとは
ドワンゴ創業者として知られる川上量生氏が、新たなSNSサービス「POPOPO(ポポポ)」を立ち上げた。
近年はメタバースやVR関連サービスが数多く登場しているが、POPOPOはスマホ時代の通話体験に焦点を当てた異色のサービスとして注目を集めている。
2026年3月に正式リリースされたPOPOPOは、「カメラのいらないテレビ電話」をコンセプトに掲げるコミュニケーションアプリだ。利用者は自身の姿を映すことなく、3Dキャラクターを介して会話を楽しめる。従来のビデオ通話やライブ配信とは異なる、新しいSNS体験を目指しているという。
POPOPOとはどんなサービスなのか
POPOPOはスマートフォン専用のSNSアプリで、iPhoneとAndroidの両方に対応している。
ユーザーはニックネームを設定し、自分の分身となる「ホロスーツ」を選択。その後、通話したい相手を選ぶだけで利用できる。
特徴的なのは、通話中の演出だ。
会話が始まると、画面上には仮想空間が表示され、ホロスーツをまとったユーザー同士が自然な距離感で会話する。さらに、話すタイミングに応じてカメラアングルが自動で変化するなど、映像演出も組み込まれている。
一般的なビデオ会議では、自分の顔が映ることへの緊張感や視線ストレスを感じる人も少なくない。POPOPOではその負担を軽減し、より自然な会話空間を実現することを目指している。
「スマホ版メタバース」という発想
川上氏はPOPOPOについて、「スマホ版メタバースを作るべきだと思った」と語っている。
近年のメタバースサービスはVRヘッドセットを前提とするものが多い。しかし、普及面を考えると、日常的に使われているスマートフォンを中心に据える必要があるという考えだ。
POPOPOでは、複雑な操作やアバターカスタマイズをあえて減らしている。
これは「誰でもすぐ使えるシンプルさ」を重視した結果だという。
POPOPOのCTOを務める岩城進之介氏によると、開発の原型は2019年頃から存在していた。当初はテキストチャットを軸にしたコミュニケーションアプリとして検討されていたが、コロナ禍を経て現在の形へ発展したという。
Clubhouseや配信文化から着想
POPOPOには、過去に話題となった音声SNS「Clubhouse」の影響も見られる。
ユーザーは他人の会話ルームに入って会話を聞いたり、途中から参加したりできる仕組みを備えており、音声コミュニティ的な側面も持っている。
一方で、POPOPOは単なる音声SNSではない。
ライブ配信やファンコミュニティの要素も組み込まれている。
特に参考にされたとされるのが、俳優の佐藤健氏が関わった配信サービス「SUGAR」だ。
POPOPOでも、配信者から視聴者へ電話をかけるような形でコミュニケーションを行う機能が搭載されている。
収益の軸は「投げ銭」ではなくホロスーツ
POPOPOでは、一般的なライブ配信サービスでよく見られる投げ銭依存のビジネスモデルを重視していない。
代わりに収益の柱として位置付けられているのが、「ホロスーツ」と呼ばれるデジタル衣装だ。
ホロスーツは、一般的なアバターに近い存在だが、POPOPOではあえて“アバター”という名称を避けている。
この「ホロスーツ」という呼び名は、庵野秀明氏の提案によるものだという。
価格帯は数百円から数万円まで幅広く設定されており、「寿司シリーズ」や「天文シリーズ」などユニークな商品展開も特徴となっている。
例えば寿司シリーズでは、玉子焼きは無料、大トロは高額設定というように、現実世界の価値観をデジタル空間へ持ち込む工夫が行われている。
これにより、デジタルアイテムにも価値の差を感じてもらう狙いがあるようだ。
AI時代だからこそ人間らしさを重視
POPOPOはAI技術も積極的に活用している。
開発にはAI支援ツール「Devin」なども利用されているとされるが、一方で映像演出やカメラワークには人間による細かな調整が加えられているという。
川上氏は、AIだけでは再現できない気持ちよさや自然さを重要視している。
特に会話中のカメラ演出については、人間の感覚を重視しながら調整を重ねたと語っている。
川上氏が自費で立ち上げた理由
POPOPOはKADOKAWAやドワンゴの新規事業ではなく、独立した会社として運営されている。
川上氏によると、大規模な新規サービスに企業出資を集める難易度が高まっていることもあり、自ら資金を投じて立ち上げたという。
その背景には、「自分自身が本当に可能性を感じたサービスだからこそ、自分でやりたかった」という思いもあったようだ。
また、KADOKAWAの夏野剛氏は発表会で、「成功したら出資や買収を検討したい」とコメントしている。現時点では資本関係はないものの、業界内での期待感の高さもうかがえる。
SNS疲れ時代に新たな居場所となるか
近年のSNSは、拡散性やアルゴリズム競争が加速し、ユーザー同士のコミュニケーションが疲弊しているという指摘もある。
POPOPOは、そうした状況の中で「少人数で自然につながる空間」を目指している。
派手な拡散よりも、会話そのものの心地よさを重視している点が特徴だ。メタバース、音声SNS、ライブ配信、アバター文化など、さまざまな要素を融合させたPOPOPO。
川上氏が描く、スマホ時代の新しいコミュニケーションが今後どこまで広がるのか、注目が集まりそうだ。
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