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7800万超が使う「LINE」のデータ活用戦略と広告価値

2018年11月に開催されたWeb広告研究会の月例セミナーでは、「アドテクノロジーとデータ活用が健全に機能する時代は本当に来るのか?」をテーマに議論が交わされた。国内で7800万人以上が利用する主要プラットフォームの一角として、LINEのデータ活用と広告価値のあり方に焦点が当てられた。セッションでは、データをどう捉え、活用していくべきかといったポイントが解説されている。

LINEのデータ活用をめぐる背景

インターネットやスマートフォンの普及により、企業が扱うデータの量はここ数年で大きく増加した。加えて、IoTやAIの活用が加速し、データ活用の可能性は広がる一方で、個人情報保護の観点からプライバシーへの配慮が従来以上に重視されるようになっている。こうした状況下で、データは企業にとっての資産であるだけでなく、個人にとっても「守るべき大切な情報」として捉えられるようになった。

セミナーの冒頭では、LINE Ads Platformのコンサルティング部門を率いる担当者が登壇し、データ活用における基本的な考え方や現状について説明した。LINEの立場からは、「どのように価値あるデータを効果的に取得し、それを活用していくか」という視点が強調されていた。

スマホ利用時間の実態

まず指摘されたのは、モバイルインターネットの利用実態だ。ユーザーがスマホでインターネットに接続する時間は、全体の約80%がアプリ利用によるものであり、その中心には日常的に使用されるアプリが並ぶというデータが紹介された。一般的なユーザーが「月に1回以上」起動するアプリは平均30個程度、さらに「10回以上」起動するアプリは12個ほどあるとされる。こうした利用状況を見ると、スマホ上のアプリ市場がいかに激戦であるかがあらためて示される。

画像引用:Web担当者Forum

日々変化するユーザー行動の中で、ユーザーの「気持ち」やニーズがどのように動くかを捉えることが、データ活用のうえで重要な要素として取り上げられた。従来型の静的なデータだけでなく、行動や心理面の変化を反映したダイナミックなデータこそが、マーケティング効果を高める鍵になるという見方だ。

データ取得の方法と価値の見極め

データの分類とその意味

セミナーでは、データ取得の方法が多岐にわたることも強調された。Webサイト、アプリ、デバイスといったチャネルや、1stパーティ、2ndパーティ、3rdパーティというように取得源によってデータの性質は大きく異なる。どのデータが本当に価値あるものなのかを見極め、最適な形で再定義することが求められている。

画像引用:Web担当者Forum

また、ユーザーの行動データから感情を読み解くためには、複数の情報が1つのIDに紐づいて管理されることが理想的だとされる。初期登録情報だけでなく、時間の経過とともに更新される情報を継続的に捉えることが、ユーザー理解の精度を高めるポイントとして紹介された。

画像引用:Web担当者Forum

LINEのデータ活用戦略

LINEプラットフォームでは、登録ユーザー数が約7800万人に達しており、そのうちの約85%がほぼ毎日サービスにアクセスしている。こうした日常的なログイン行動が示すのは、データ取得のチャンスが圧倒的に多いという点だ。

LINEは基本的なメッセージング機能だけでなく、ニュース、ショッピング、フードデリバリー、保険、決済サービスなど多彩な機能を横断的に提供している。このような展開は「スマートポータル」と呼ばれる概念につながり、ユーザーのさまざまな行動を一つのプラットフォーム上で捉えることで、データの価値を最大化する役割を果たしている。

企業向けサービスにおいては、1st/2nd/3rdパーティデータを組み合わせることで、さまざまなセグメントを生成。これを「LINE Ads Platform」や「LINE Sales Promotion」、「LINE Account Connect」といった広告・コミュニケーション商品に活かすことで、データドリブンマーケティングのサイクルを実現しようとしている。

画像引用:Web担当者Forum

広告価値とユーザー体験

広告の本質的な価値とは

セミナーでは、データ活用の最終目的が効率化ではなく、「ユーザー体験の向上」であるという視点が繰り返し語られた。多くの消費者がターゲティング広告に対して抵抗感を持つ背景には、広告が単に「売るための手段」として捉えられてしまっていることがある。こうした認識のズレを解消するためには、広告がユーザーにもたらす価値を明確に伝えることが重要だとされる。

広告は単なる商材の露出に留まらず、ユーザーにとって有益な情報や感動体験へのきっかけを提供するものであるべきだという見方が紹介された。これは、ユーザーの生活をより便利にし、新たな発見や体験につながる情報提供につながるという考えだ。

実際の活用例

地域情報や緊急メッセージ配信のように、ユーザーにとって価値の高い情報をセグメント別に届ける取り組みも進んでいる。一例として、自治体が公式アカウントを通じて発信する災害情報や生活情報が挙げられる。こうしたケースでは、ターゲティングが単なる広告配信の効率化ではなく、ユーザーの生活に直接役立つ情報提供につながっている。

さらにLINEでは、電気・ガス・航空・運輸などのインフラ企業との連携によって、友だち登録していないユーザーにもプッシュ通知を送る機能を提供している。これにより、日常生活の中で役立つメッセージやサービス情報を幅広いユーザーへ届けることが可能になっている。

データ活用の健全な未来に向けて

データやテクノロジーはマーケティングの効率性を高めるだけでなく、ユーザーの生活や体験を豊かにするための手段であるべきだというコンセプトがセミナー全体を通して強調された。広告価値の再定義や、ユーザーが自分自身で広告・データ利用をコントロールする方法の提示といった取り組みが、今後の課題として浮き彫りになっている。

最終的に、データ活用が健全に機能するためには、ユーザー側の理解と信頼を得ることが不可欠だ。データ利用によって生活がどのように便利になるのか、そのメリットをわかりやすく伝えるコンテンツづくりが、プラットフォーマーに求められる重要な役割となるだろう。

画像引用:Web担当者Forum