生成AIで工数を7割削減へ──LINEヤフーが描くEC×AIの未来戦略
LINEヤフーが目指す“生成AI活用最前線”
近年、生成AIの実装が企業のDXや業務改善で急速に進む中、LINEヤフーが独自の取り組みで注目を集めている。EC領域を中心にAIの可能性を探索し、社内外の業務プロセスの高度化やユーザー体験の向上を実現している動きが伺える。LINEヤフーは2024年2月には「生成AIを日本一活用する企業を目指す」との方針を掲げ、社内体制の整備と実践例の積み上げによってその戦略を推し進めている。
この方針のもとで設置されたのが、EC×AI活用に特化した部門「生成AIタックル室」だ。同社では旧LINEと旧ヤフーが合併した後、AI活用の取り組みを加速させるため組織横断で開発と導入が進められ、2024年末の時点で30件を超える生成AI関連の施策が実行されているという。これらの施策は社内の作業効率化だけに留まらず、外部サービスの機能改善やユーザーエクスペリエンス向上にもつながっている。
AI導入が生む具体的成果
Yahoo!フリマでの商品説明自動生成
実際の成果の一例として、個人間売買プラットフォーム「Yahoo!フリマ」で導入された商品説明文の自動生成機能が挙げられる。この機能では商品画像をアップロードし、商品名やカテゴリを入力するだけで、AIがそれらを基にした説明文を即時提案する。従来は出品者が手作業で文章を作成する必要があったが、AIの活用によって作業負荷が軽減され、ユーザーの利便性が向上している。実際に試したユーザーからは90%以上の満足度を示すフィードバックも得られているなど、期待される成果が見られた点が注目される。

画像引用:Web担当者Forum
LP制作の効率化と売上貢献
LINEヤフーが展開する「Yahoo!ショッピング」でも生成AIの導入が進んでいる。特にランディングページ(LP)の自動制作においては、テーマやキーワードを指示するだけでAIがページ構成案を生成し、制作担当者の負担を大幅に軽減したという。あるプロジェクトでは、LP制作の工数が最大で7割削減され、短期間でコンテンツ公開が可能となった。これにより、キャンペーンや企画施策のスピード感が向上し、結果的に売上アップにも貢献するケースが増えている。

画像引用:Web担当者Forum
レコメンド機能の精度向上
さらに、商品レコメンドの高度化による顧客体験の改善も進んでいる。従来のレコメンドは購入履歴や閲覧履歴から関連商品を提示するものであったが、生成AIを用いることでレビュー内容の分析を基にした高度な提案を実現。たとえば、ある商品に対する否定的なレビューが付いた場合でも、AIがその理由を解析し、ユーザーのニーズにより合った別の商品をレコメンドする仕組みだ。この機能はユーザーの閲覧行動に好影響を与えており、従来よりも説得力のあるおすすめ表示として評価されている。
チャットボットで問い合わせ対応工数削減
社内向けの事例としては、ストア出店者からの問い合わせ対応に生成AIを活用したチャットボットが導入されている。このチャットボットは、よくある質問や手続きに関する問い合わせをAIが自動で処理する機能を持つため、従来の有人対応に比べて約3割のリソース削減に成功。これによりサポート担当者はより複雑な対応や戦略的施策に集中できるようになったという。

画像引用:Web担当者Forum
AI活用の体制と今後の課題
LINEヤフーの生成AI活用は、単なるツール導入ではなく、「超高速のトライ&エラー体制」を構築することで進化している。アイデアが出たらすぐにプロトタイプを作成し、実装に移すというサイクルは従来の開発プロセスとは一線を画す。これによりAIを基盤としたアイデアの検証スピードが飛躍的に高まり、多様な活用法が生まれている。
一方で、生成AI特有の課題もある。たとえば誤情報や不正確な結果が出力される「ハルシネーション」への対策は依然として必要だ。また、AIが提示した内容をユーザーがそのまま受け入れる信頼感をどのように醸成していくかといった点も、今後の普及を左右する要素になると見られている。こうした課題に対応しつつ、より実用的なAI活用が進むことで、EC領域全体の生産性向上や消費者体験の改善につながることが期待されている。
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